我々はどういう集まりで、何を目指すのか
そもそも霞ヶ関にはどのような役割が国民から期待されているのだろうか。また、就職という人生の大切な岐路において、中央省庁を選択した我々はどのような形でその期待に応えんとしていた(している)のだろうか。度重なる不祥事やこれまでの「改革」への失望から、行政は執行業務だけをしていればよいという声も聞かれるが、本来、霞ヶ関の国家公務員に与えられた使命は、「国民全体のために、質の高い政策の企画立案をする」ということではなかっただろうか。
ところが現実はどうか。供給者を栄えさせれば国全体が栄えるという右肩上がりの高度成長の時代はずっと昔に終わっているのに、未だに霞ヶ関では所管業界・省益至上主義が幅を利かせている。その結果、いわゆる縦割り意識が前面に出て、「国民全体のため」という視点が後退してしまっていると言わざるを得ない。また、質の高い政策の前提として、綿密な調査やいろいろな政策案の比較検討を行うための真摯な議論が不可欠であるが、実態は、前例・横並びとの整合性、影響力の強い利害関係者に都合が良いような調査結果の帳尻合わせ、文言を少しだけ変える、いわゆる「てにをは修正」のための不毛な議論が跋扈している。「私たちは国民全体のために質の高い政策の企画立案をしています」と胸を張って答えられる状態ではない。
もちろん、現実の政策決定に際してはいろいろな事情が存在し、その種々の事情に伴って築き上げられてきた「掟」に従わないと物事が動かないのも事実である。そうした限界の中で少しずつ良い方向にシステムを変えようとするミクロな努力も重要であり、現に我々もできる限りの努力はしてきたし、これからも不断に改革を進めていくつもりである。
しかし、そのようなミクロな改革の積み重ね、個人個人の努力だけでは先述のような残念な実態が大きく改善されるとは思えない。現に高い意識を持って入省しながら、霞ヶ関のあり方に失望して霞ヶ関を去った者、さらには絶望して自ら命を絶った仲間たちも残念ながら少なくない。ミクロな改革だけでは、霞ヶ関全体を真に国民のためになる組織として再生させるには限界があると言わざるを得ない。
我々は、入省9年目の現在31歳・32歳を中心とする若手の国家公務員の集まりである。我々が就職を決めた際、既に霞ヶ関における数々の問題が表面化していた。そのことを知りつつ、内からの改革のために我々はこの世界に飛び込んだ。真の改革のためには、気持ちだけではなく、問題点をしっかりと理解することが必要であるが、10年近くの勤務を経て、今や内部の事情や霞ヶ関に内在する問題点もかなり明確に理解することができたと考えている。今こそ、組織の論理に染まっていない各省の若手が手を取り合って、国民はもとより次代の霞ヶ関の職員のためにも、マクロ的な視野からの問題の核心を明らかにし、具体的な解決策を示して、改革を実行していくことが必要である。「国民全体のための公務員」という基本に立ち返って、質の高い政策立案を行えるような霞ヶ関を新しく創りたい。このような問題意識を持った者が集まって議論し、まとめた改革案の内容が本書である。
我々は、会の名前を「新しい霞ヶ関を創る若手の会」とし、「公務員は、国民全体のために奉仕すべきであるという原点に立ち戻り、霞ヶ関が歴史的に質が高く、国際的に競争力のある政策を立案できるよう、改革を実行する。」との会のビジョンおよびミッションを掲げて、メンバー間で大小数十回の会合を重ね、本稿を取りまとめた。今後は各所からご意見をいただきつつ、改革案を我々の社長たる総理にその実現を提案したいと考えている。
なお、会の通称を「プロジェクトK」としているが、その理由は「霞ヶ関」「公務員」「改革」など、キーワードの多くがKで始まる単語だからである。
そもそも霞ヶ関にはどのような役割が国民から期待されているのだろうか。また、就職という人生の大切な岐路において、中央省庁を選択した我々はどのような形でその期待に応えんとしていた(している)のだろうか。度重なる不祥事やこれまでの「改革」への失望から、行政は執行業務だけをしていればよいという声も聞かれるが、本来、霞ヶ関の国家公務員に与えられた使命は、「国民全体のために、質の高い政策の企画立案をする」ということではなかっただろうか。
ところが現実はどうか。供給者を栄えさせれば国全体が栄えるという右肩上がりの高度成長の時代はずっと昔に終わっているのに、未だに霞ヶ関では所管業界・省益至上主義が幅を利かせている。その結果、いわゆる縦割り意識が前面に出て、「国民全体のため」という視点が後退してしまっていると言わざるを得ない。また、質の高い政策の前提として、綿密な調査やいろいろな政策案の比較検討を行うための真摯な議論が不可欠であるが、実態は、前例・横並びとの整合性、影響力の強い利害関係者に都合が良いような調査結果の帳尻合わせ、文言を少しだけ変える、いわゆる「てにをは修正」のための不毛な議論が跋扈している。「私たちは国民全体のために質の高い政策の企画立案をしています」と胸を張って答えられる状態ではない。
もちろん、現実の政策決定に際してはいろいろな事情が存在し、その種々の事情に伴って築き上げられてきた「掟」に従わないと物事が動かないのも事実である。そうした限界の中で少しずつ良い方向にシステムを変えようとするミクロな努力も重要であり、現に我々もできる限りの努力はしてきたし、これからも不断に改革を進めていくつもりである。
しかし、そのようなミクロな改革の積み重ね、個人個人の努力だけでは先述のような残念な実態が大きく改善されるとは思えない。現に高い意識を持って入省しながら、霞ヶ関のあり方に失望して霞ヶ関を去った者、さらには絶望して自ら命を絶った仲間たちも残念ながら少なくない。ミクロな改革だけでは、霞ヶ関全体を真に国民のためになる組織として再生させるには限界があると言わざるを得ない。
我々は、入省9年目の現在31歳・32歳を中心とする若手の国家公務員の集まりである。我々が就職を決めた際、既に霞ヶ関における数々の問題が表面化していた。そのことを知りつつ、内からの改革のために我々はこの世界に飛び込んだ。真の改革のためには、気持ちだけではなく、問題点をしっかりと理解することが必要であるが、10年近くの勤務を経て、今や内部の事情や霞ヶ関に内在する問題点もかなり明確に理解することができたと考えている。今こそ、組織の論理に染まっていない各省の若手が手を取り合って、国民はもとより次代の霞ヶ関の職員のためにも、マクロ的な視野からの問題の核心を明らかにし、具体的な解決策を示して、改革を実行していくことが必要である。「国民全体のための公務員」という基本に立ち返って、質の高い政策立案を行えるような霞ヶ関を新しく創りたい。このような問題意識を持った者が集まって議論し、まとめた改革案の内容が本書である。
我々は、会の名前を「新しい霞ヶ関を創る若手の会」とし、「公務員は、国民全体のために奉仕すべきであるという原点に立ち戻り、霞ヶ関が歴史的に質が高く、国際的に競争力のある政策を立案できるよう、改革を実行する。」との会のビジョンおよびミッションを掲げて、メンバー間で大小数十回の会合を重ね、本稿を取りまとめた。今後は各所からご意見をいただきつつ、改革案を我々の社長たる総理にその実現を提案したいと考えている。
なお、会の通称を「プロジェクトK」としているが、その理由は「霞ヶ関」「公務員」「改革」など、キーワードの多くがKで始まる単語だからである。
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書籍「霞ヶ関構造改革・プロジェクトK」目次 |
プロジェクトK |
これまでの改革運動との違い |












