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オピニオン  : 国家公務員制度改革基本法成立について

トップ  >  国家公務員制度改革基本法成立について
※本見解は与野党の修正合意後に成立した法律に対するものです。


国家公務員制度改革基本法に対する見解

┌───────────────────────────────┐

  総論 「改革に終わりなし」                            
                                               
    国家公務員制度改革基本法は、改革の重要なステップとして   
    評価できるものであり、今国会での成立を評価。             
                                                
└───────────────────────────────┘


1.本法は、霞が関構造改革全体に向けた一里塚

「国」の改革、すなわち、「政府全体」における縦割りの打破や政策立案能力の向上を目指し、来るべき時代にマッチした形にするには、本来、

  強力な司令塔の設置を通じた組織改革
  採用・任用・評価の各制度見直しを通じた人事制度改革
  廃止・効率化・透明化を通じた業務改革の改革

を三位一体として実現することが必要だと私達は考えます。
⇒本法は霞が関改革実施の一里塚として評価できます。
  
2.本法は、総合的な公務員制度改革に向けた一里塚

公務員制度改革に関しては、1.で言及した目的を達成するため、総合的・抜本的に採用・任用・評価の各制度見直しが行われる必要があります。
そのためには、今次法に含まれている改革だけでなく、例えば、

  年度末に消化している予算の翌年度再要求など、「してはいけないこと」  の明示(Don’t Do Listの設定)
  審議官、企画官、調整官等々、名が体を表していないことも少なくない複雑な体系を抜本的に大括り化して整理整頓すること

    なども必要になります。
⇒本法は総合的な公務員制度改革実施の一里塚として評価できます。
    
3.本法は、実効ある公務員制度改革に向けた一里塚(「骨格から中身・運用」へ)

God is in the details.(神は細部に宿る)と言いますが、骨格としての法案だけではなく、今後中身をしっかりと詰めることが重要になります。当然、制度に魂を入れるための運用も重要だと私達は考えます。
そのためには、例えば、

国家戦略スタッフの規模
幹部職員人事案の実態的作成部署
国家公務員制度改革推進本部の職員の顔ぶれ

     などのあり方により、中身や運用が大きく変わると考えられます。
⇒本法は総合的・抜本的な公務員制度改革実施の一里塚として評価できます。
  
    

 各論〜主なポイント、変更点に対するコメント〜

○「国家戦略スタッフ」・「政務スタッフ」について
「国家戦略スタッフ」については、プロジェクトK提案の「総合戦略本部」(閣議の頭脳となり、手足となる機関。具体的には、政府全体を視野に入れて優先順位を明記した総合戦略を策定・実施し、各省が争い合う場合には裁定を行う。)につながりうるものとして期待できる。
更に、各大臣直属の「政務スタッフ」を置くこととしているが、私たちの提案する総合戦略本部案では「戦略策定部門」が策定した戦略を各省別担当からなる「戦略実施部門」が実施する形としていますが、これを実効あらしめるため、各省の政務官・副大臣との連携、活用を唱えているところであり、「政務スタッフ」の発想はこれに近いものと考えられ、評価できる。
  人数の規模としては、1府11省(計12)別に10名ずつの担当を置くだけでも120名が必要であり、国家戦略スタッフ(総合戦略本部)は、戦略の策定だけではなく実施も担当するのであれば、最低100名であるべき。構成員は各省出身者である必要はなく、仮に各省出身者を登用する場合には、片道切符とすべき。この観点から、「片道」を後押しするものとして、給与等の処遇を柔軟化している今回の法律は評価できる。
なお、国家戦略スタッフが実際に重要な意味を持つのは、各省同士が争いあう場合であり(例:環境省vs経済産業省、農水省vs経済産業省など)、この場合に足して二で割る調整をするのではなく、政権の方針に照らして明確な判断を加える「裁定実施」機能が重要。私達の案では、「総合戦略本部」には、判定機能を持たせるべきとしている。
 
○幹部職員・管理職員の任免・育成について
政府原案では内閣人事庁が政府全体を通ずる国家公務員の人事管理について国民に説明する責任を負うこととなっていたが、本法律が内閣官房の中に内閣人事局を作る案となっている。
内閣人事局は、構成員が各省とは切り離された形であれば(片道切符で出向する各省職員または民間から選抜された職員中心であれば)、「総合戦略本部」へのステップとしては評価できる。私たちは提案していた内閣による局長級以上の幹部の内閣直接管理のやり方として、内閣総務官室の拡充を考えていたが、それと同様のものと評価できる。
  政府提出案では、幹部職員の候補者名簿を各省が作ることが原則となっていたが、既にHP等で主張しているとおり、あくまで原案は主として人事庁側が作るべきと考えていたところ(『霞ヶ関構造改革・プロジェクトKP118図参照)、今回成立した法律では、内閣官房(人事局)が原案を作成することとなっており、この点は高く評価できる。
  なお、「原案作成者は各省でないと普段の仕事振りや政策の中身がわからず、内閣人事局では実際には人事を決められない」との反論がありうるが、私達の案のように、総合戦略本部の実施部門を各省別にしてある程度のスタッフをおいて密接に各省に指示を下し、連絡調整をする体制を築けば可能。すなわち、現在の案に即せば、内閣官房人事局を各省担当別にしておけば良い。
  また、「幹部」の範囲としては、私達は局長級以上を前提としており(全省で約200名〜250名規模)、その規模であれば一元管理は十分可能との立場。今回の基本法は部長級を前提としていると見られ、想定範囲が私たちの案よりやや広いと思われるが、何とかなる規模ではないかと考えられる。ちなみに私達の案では、マネジメントクラスは部課長級と局長級の2段階とし、中二階はとっぱらって役割分担を明確にすることもセットとしている。
  いずれにせよ、法律の施行後1年以内を目途として必要な法制上の措置を講ずることとされている「内閣人事局」の議論の帰趨が重要となる。
  さらに、管理職の選抜については、後述する「官僚は専門家」との原則に基づき、専門家たる候補者の中からマネジメント能力のある人が選ばれるシステムを導入すればよい。現在のような中途半端なマネジャー育成の仕組みは見直す必要があり、本法律で導入がうたわれている「幹部候補育成課程」は、中身次第ではあるが、発想は評価できる。
なお、専門家たる各職員より幹部・管理職が「偉い」というわけではない。あくまで適材適所の観点からマネジメント向き、専門家向きという形で人事配置を行うことが肝要。
 
○採用の見直しについて
キャリア制度の廃止については、方向性としては評価できるが、「総合職」「一般職」「専門職」とするだけだと、役割分担や重点の置き方が不明であり、看板の架け替えに終わる恐れがある。
プロジェクトKとしては、「政策専門職」「政策総合職(一般企業の「総合職」ではなく、バックオフィスのスタッフとのイメージ。)」の2類型とし、あくまで「官僚は専門家」という基本を忘れず、したがって、現在の新卒中心採用ではなく、「政策専門職」については経験豊富な専門家を中心とすべきと考えているところ。少なくとも、現在のようにほとんどが新卒で大した専門知識もないのに、一応、「土木職」とか「経済職」と銘打って採用し、採用後は悪いケースになると職種別に着任できるポストが決まっていて、適材適所とは別に任用が決まることは妙だと感じている。
官民交流の促進とも関係するが、これによって、例えば、一度退職した公務員についても、民間企業などでの経験・能力向上を踏まえ、専門家として適切と判断された場合は政策専門職として再度政府で勤務することが可能となる。
また、本法律で導入が決まった「国際対応職(私達の仮称)」(国際機関等への勤務を優先し、国際社会の中で国益を全うし得る高い能力を有する人材の確保等が目的)についても、2006年に開催された外務省の委員会(世界の中の日本・30人委員会)において委員を務めた当会代表提出資料等でその必要性を訴えているところであり(※)、評価できる。

※ ・・・平成18年7月3日提出資料(抜粋)
     ○専門的に世界と渡り合える人材を各省庁が戦略的に育成、または、即戦力として採用し、最低5年以上の長期間にわたって国際機関に送り込む仕組みを構築するべき。
  (例)関連する国際機関の数に合わせ、国際公務員として育成する採用枠、または、即戦力としてすぐに派遣する採用枠を各省が設ける。(霞ヶ関の人事制度・運用改革)

○政官の接触制限について
政官の接触のあり方については、プロジェクトKとして明確な意見は出していないが、出版した書籍(前掲)にも触れているとおり、「自分の組織の社長(大臣)に話す前に、ともすると組織外の有力者(族議員)と接触して裏で握る、というのは、政策を通す上で「合理的」な手法となってしまっているが、本来的には妙な姿」である旨指摘しており、この意味で接触制限は当然。例えば、米国や英国では原則として公務員は総理大臣及び各大臣に対する責任のみを負うこととされている。
  一方で、政策の調整プロセス以外の政官の接触(特に、業務上ではなく個人的な色彩の強いもの)についてはこれを一律に禁止することは政官それぞれにとってデメリットが多く、上記で述べる「政官の接触禁止」とは別に議論することが必要と考えていたところ。
  本法律においては、政府原案にあった接触禁止規定(「政務専門官」への接触一元化)が与野党修正で削除されており、代わりに接触記録の作成及び公開が求められている。このような規定により、結果として、議員からの動機が不明瞭な資料要求やレクチャー要求対応が減り、業務効率化につながるという側面も大きいと考えられるが、一方で記録作成等の負荷がかかることも想定され、現時点での評価は難しい。
 
○その他(改革の推進体制、ワークライフバランスについて)
ワークライフバランスについては法律事項というより運用の問題かもしれないが、「隗より始めよ」ということで、公務員制度においても十分に配慮することが必要であるところ、本法律では、職員の超過勤務状況を管理者の人事評価に反映することがうたわれており、評価できる。
同時に、国家公務員の超過勤務の具体的な要因(国会対応、法制局、財務省等の査定官庁対応、各種各省折衝等と考えられる)を特定し、政官を挙げてその効果的な改善策について早急に検討を行うべき。
また、国家公務員制度改革推進本部及びその事務局を公布後一ヶ月以内に政令で定める日から施行とされているが、本法律で定めた骨格が骨抜きにならないよう、外部の目を入れるなど、しっかりとした体制を組むことが必要。また、公務員制度改革は、霞が関の総合的改革の一里塚であることから、今後必要とされる改革(組織、業務)の進め方も視野に入れた体制を組むことも必要。
 以上

(参考)
国家公務員制度改革基本法のポイント

1.政官接触の制限
・ 政治家との接触は政務専門官が原則として担当(政務専門官は各省所属だが、内閣人事庁併任)することとされていた政府提出案に代わり、職員が国会議員と接触した場合における記録の作成、当該情報の公開の徹底が求められている。

2.国家戦略スタッフ/政務スタッフの設置
・ 総理を補佐する職として国家戦略スタッフを設置
・ 各大臣を補佐する職として政務スタッフを設置
 
3.幹部職員/管理職員の任免・育成
・ 幹部職員の候補者原案は官房長官作成。内閣総理大臣及び官房長官と協議の上で各大臣が任命(政府提出案では、各省作成。必要に応じて内閣人事庁も作成可だった。)
・ 幹部候補育成過程を設け、管理職員を計画的に育成

4.採用見直し
・ I〜III種制度を廃止し、「総合職」「一般職」「専門職」とする
・ 公募を促進するなど、官民人材交流を促進
・ 国際対応採用を行い、対象者には国際機関等への勤務等の機会を付与

5. 評価・処遇
・ 国民の立場に立つことを明示
・ 目標管理的業績評価の実施
・ 評価の職員へのフィードバックを導入
・ 職員の超過勤務状況を管理者の人事評価に反映
・ 兼業や給与のあり方を柔軟化

6. 内閣人事局(内閣官房内)
・ 内閣官房長官を長として、政府全体の国家公務員の人事管理について説明責任(政府提出案では、内閣人事庁を創設することとなっていた。)

7. 国家公務員制度改革推進本部
・ 総理大臣を本部長とし、担当大臣を副本部長とする。事務局を含め、公布後1ヶ月以内に政令で定める日から発足。

8. 労働基本権
・ 協約締結権の付与対象の拡大を検討
以 上

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